これはこれでアリ、かも

竜馬、明治をゆく

竜馬、明治をゆく

 久しぶりのレビュー。
 書店に行っても面白い本に出逢えず、特に時代小説や歴史小説の類は最近購入意欲を掻き立てられる作品がない状態が暫く続いていました。
 そんなある日、図書館で借りた本がなかなか面白くて購入しようかなと思ってフラフラと書店を廻っていたものの数年前に発売され既に文庫化されている書籍は置かれておらず、帰ろうかなとチラリ新作時代小説の棚を眺めてみたら……この本の題名が目に入って即座に内容を確認。ペラリペラリとページを幾つか捲っただけで購入することを決定。『出逢った瞬間に電撃が走る』とはこのことで、何回かこうした直感に遭遇しましたが何れも私の中のベストセラーに入っています。

 大河ドラマの題材となった坂本龍馬(題名は『竜馬』ですが『龍馬』の方が印象に強いのでこちらで表記しています)ですが、奇跡的に助かったというところから物語が始まり、明治初期の動乱期(〜戊辰戦争終結まで)を龍馬視点で描いている作品。
 これが違和感なく、すんなりと懐に入ってきました。はっきり言えば有り得ないのですが、有り得ないことだとわかっていても「本当にこうだったのかも」と思えてしまうのです。様々な人の思惑も垣間見えて読んでいる間はずっと物語の中に引き込まれてしまいました。

 最近読んだ中で最もおススメできる作品です。もし宜しければ書店でお手にとってみて下さい。