春風のように激動の時代を駆け抜けていく一冊

春風伝

春風伝

 ぶっちゃけ葉室麟は好きではありませんでした。元々守備範囲が戦国〜江戸初期・幕末〜明治初期という狭い範囲を読むので、直木賞受賞作とか他の作品も「ちょっと……」という感じでした。『冬姫』は守備範囲でしたが書き方がなんだか好きになれず購入してませんでした。
 そして今回紹介する『春風伝』は幕末の高杉晋作を題材にした作品。これまで幕末を扱った作品は多く読んできましたが、高杉晋作にスポットを当てた作品は読んだことがありませんでした。そしてそれに加えて帯に書かれた一文も興味をそそられました。

ずっと晋作を書きたかった。
この小説は今の私の集大成です。 葉室麟
(帯に書かれた文面より抜粋)

 分厚さと手に取った際の重さから感じるボリューム。中をパラパラと目を通した際に物語へ引き込まれる感覚。物は試しに購入してみることにしてみました。
 ……帯に偽りなしでした。煽りに煽って「うわ騙された!」と思うこともありますが、煽り文句通りの内容でした。どんな内容かは以下の抜粋を参考にして下さい。ホントにそのままです。
 

攘夷か開国か。国論二分する幕末。晋作は初めての外遊先・上海で、欧米列強と戦う民衆の姿を目の当たりにし、日本のとるべき第三の道―――革命と出会う。奔馬の気性ゆえに度重なる脱藩、蟄居、幽閉。しかし、そのつど請われて戦いの最前線に舞い戻り、藩の窮地を救った男は、ついに幕府を相手にレボリューションの引き金を引く!
(帯に書かれた文面より抜粋)

 しっかりと高杉晋作の生涯を書き切っていました。書きたかったという気持ちが強く出ていて、今まで知らなかった高杉晋作葉室麟の世界によって知らされた、という感じです。幕末好きな方は一度読んでみてはいかがでしょうか?