「そんなことより槍の話せぇへん?」

 じいちゃんが死去してから剣道に対して情熱を持てなくなった男子高校生が偶然通りかかった体育館を覗いてみたら槍を使って稽古の真っ最中。これまでと少し違った世界に同級生の女の子に振り回されながら槍道の世界へと突き進む青春ストーリー、という感じのお話です。
 カバーイラストと帯の文章、そして裏のあらすじを見て購入。昔剣道をやっていた身なのでこの手の作品はつい惹かれてしまうタイプです。
 ちょっと心配だったのはラノベっぽい感じがした点。どうもハーレム展開やラノベ特有の恋愛ストーリーは好きではないので「そんな感じだったらどうしよう……」と一抹の不安を覚えていましたが(一応巻頭50ページと巻末5ページを確認して大丈夫と判断した)、そんなことありませんでした。読み終えた後には爽やかでスッキリとした締め方で安心しました。
 この作品がデビュー作品だそうですが、本当に最後まで楽しませて頂きました。二人の剣道少女を題材にした誉田哲也著『武士道シックスティーン』シリーズと比べても決して劣らない、キャラクターとシナリオがしっかりと作られていました。
 ただ惜しいのは中盤のグダグダがマイナスポイント。葛藤やトラウマが脳裏に甦って突発的に起こしたのは分かりますが、あれでちょっと読み辛くなってページの進みが遅くなりました。
 主人公の成長はまだ見込めるので、今後仮に続きが出た場合には是非購入したいと思っています。技術的にも関係的にも。

 余談ですが、この作品を読んでいる最中にパワポケのとあるキャラクターのセリフが脳裏に浮かんだのでタイトルに使わせて頂きました。恐らく彼女はハマる、はず。