読んでいる途中でも感じる違和感

 先日紹介した今岡英二著『天下人の軍師』ですが―――やっぱり地雷でした
 文体がかなり砕けてラノベのように軽い感じなのはメディアワークス文庫という性質上仕方ないのかな。時代小説はどちらかと言えば堅い文章が多いですが、これに関しては個人の好みの問題なので深く言いませんが。
 ただ、全体的に官兵衛を格好よく描きすぎている点が宜しくないかな、と。表紙にしてもそうですが、キャラクターが前面に出すぎていて逆に違和感を感じました。
 話の展開や登場人物に関しても、もう少し練り上げることが出来たのではないかな、と。官兵衛・半兵衛・秀吉の核となる三人に関しては問題ないですが、腹心の栗山・母里の二人組を始め、下巻で対立する石田三成、嫡子の長政とそれを支える二人、徳川家康福島正則など官兵衛に関わる人物の作りこみが非常に薄いので、作品自体も薄っぺらく感じられます。
 「こんなの読んで損した!」って程ではないですが、購入して読むレベルの本ではなかったですね……