気晴らしに

 祝日も基本的には仕事になる職場なのですが、10月12日は珍しく休みになるということで、11日に日帰りで久しぶりに一人旅へ行くことにしました。本音を言えば10日にどこかホテルを予約して一泊二日の旅行にしようと思っていたのですが(12日は生憎予定が入っていたので)、財布の方が寂しいので泣く泣く諦めることに。切符を買った直後に10日が急遽仕事となったので結果オーライにはなりましたが。

 目的地は京都。乗り換えなしで片道2時間くらいで行けて、そして何より京都という街の雰囲気が好きなので。
 ……但し、コンディションは最悪に近い状態。10月に入ってからほぼ8-20時という12時間労働+土曜勤務で体力的にベストとは程遠い状況。おまけに前日の終わり頃に背中を痛めて欠伸をしても痛みが出るくらい。それでも切符代が勿体ないので強攻する辺り、私も私なのですが。

 京都までの行きの車内。移動中の時間の過ごし方だと景色を眺めていたり友人や家族とお喋りしたり、あとはケータイやスマホをいじったりすることが多い中、私の座る席の列だけ全員が読書という非常に珍しい事態に。

 私の行動パターンとしては、予め「ここに行く」と決めてから行動することが多いのですが、今回は全くのノープラン。とりあえず市バスの一日乗車券を購入して、バスターミナルの行き先案内を眺めて、「そういえば嵐山方面に行ったことないな」ということで天龍寺へ向かうことに。

 

 まだ紅葉の時期じゃないのに凄い人。流石京都。そして三連休恐るべし。
 写真に一切人が写ってないのはそのタイミングを狙って撮影したため。意外に難しい……。

 敷地内を散策している間は何も考えずただ単に景色を楽しむことに集中出来ました。こんな感覚は久しぶり。仕事中はあれこれ段取りを常に考えていますし、休みの日も「あれやろう」「これやろう」とか色々と考えているので、無心になったのはいつ以来だろうか。
 そして天龍寺の代名詞(?)である天龍図。……凄ぇ、本当に360度どこから見ても龍に睨まれているように見える。

 天龍寺を出ると11時半くらいに。そろそろお昼にしようかなということで、嵯峨とうふが売りのお店に。周囲は観光客で溢れ返っている中、幸いにもそれ程待つことなくすんなりと店内へ。色々あるメニューの中で、湯豆腐と湯葉が味わえる御膳を注文。2000円近い値段だったけど、まぁ旅行だしたまにはいいか、という気持ちで。
湯豆腐と湯葉はいいとして、御膳の中に含まれているゴマ豆腐だけは苦手なんだよな〜、と思いながら待つ。
 ……何これ、メッチャ美味い!!ゴマ独特の香りが苦手で戻しそうになるのですが、それも最初だけですぐにコクと旨みが舌の上に広がって、メチャクチャ美味しい!これなら私でも食べられる。というか最初に出されたお茶も冷たくなく熱くなくちょうどいいぬるさ(褒め言葉ですよ、もちろん)。
 仕事場でパッと食べる訳でもなく、仕事から帰ってダラダラと食べる訳でもなく、本当に久しぶりに“食事を楽しむ”ことが出来ました。大きな窓を眺めながら、種類豊富なおかずをじっくりと味わえました。本当に良かったです。

 渡月橋に向かって歩いている途中、扇子屋があったのでふらっと入り、桜模様の扇子を購入。京都に来る度にお土産として扇子を購入しているけど、それも楽しみの一つだったりする。
 途中、店内でくしゃみ。直後に激しい激痛。そうだ私は背中を痛めていたのだ、と再認識。

 さて次はどこに行こうかなと思っていたらバスが来たので乗車。行き先は苔寺。まぁよく知らないけれど行ってみよう、という感覚。終点に着くと乗客が皆同じ方向に向かって歩いていくのでついていくと……何か凄い行列。何これ、山門前からずらずらーっと続いているんですけど。待っても待っても一向に進む気配がないので諦めて引き返そうと一瞬思ったものの、後ろを見るとさらに行列が続いていたのでここで諦めるのも何だかなぁと思って待つことに。
 暫くして行列が一気に進んで、その理由が判明。一度に入れるのが約250人で住職の話が30分程度あるのだとか。成る程、それは進まない訳だ。
 そして山門を抜けて一気に寺の敷地内へ。これはもしかしてもしかすると……と思っていたら二組前で無情の満席。次まで40分と説明される(でもその次に説明されたのは45分。あれー?)。……ここまで来た以上、待ちますよ、待ちますとも。
 そして待つこと1時間弱。ようやく中へ入れることに。通された部屋にはお茶とお菓子が置かれ、その奥にはケースに入った大量の鈴虫が。凄い音。
 ここは華厳寺。通称『鈴虫寺』。草鞋を履いたお地蔵様が願いを叶えるために歩いて来られる、らしい。住職の話も非常に軽妙で面白く、あっという間に時間が過ぎていきました。

 時間は16時近く。お土産を買いに行くべく清水寺の方面へ行くべくバスに乗り込むものの……バスの中も道路も大混雑。ノロノロと動いて一向に進まない。市街地に入ると何故か警察の装甲車がズラリと並んで物々しい雰囲気だし。
 とりあえず四条河原町でバスを降りて、そこからは徒歩で清水寺へ。地図は持ってないですが何回も京都に来ているので方角は何となく分かっていたので自分の勘を頼りにとにかく歩く。
 ……自分の勘だけで何とか清水坂に到着。この時既に17時を廻っていました。行き着けの八つ橋を買った後は近くにあった漬物屋で今日から出たという千枚漬と柴漬けを購入。清水寺には参拝せずに茶碗坂の方へ廻り、ふらっと立ち寄った和菓子屋でさらにお土産を購入。そこで偶然にも侍JAPANの小久保監督の関係者という女性と遭遇する。

 夕食だけは「ここに行きたい」と決めていた地下街の洋食屋へ。18時前に店に着くと行列が。やはり夕食時ということで混雑しているか、と少し悔やむ。
 ……1時間経過して入店したの一組(二人)だけなんですが。帰りの電車が19時54分なので本気でシャレにならん。
 19時になってようやく店内に人が入っていく。店に入ったのが19時15分。まぁ想定より少しオーバーしているけれど急いで食べて急いで駅に向かえば何とかなると思いつつも、一応提供時間を店員さんに聞いてみる。
 「すみません、こちらってどれくらいかかりますかね?」
 「一時間です
 ……は?
 そりゃかなり込み合っているのは見れば分かるけど、一時間って。店員さんが確認して戻ってきても25分という状況。もう完璧にアウトなので泣く泣く撤退。入る時に「大変お待たせしました」とも店を出る際にも「申し訳ございません」もなかったので、ちょっとあの店は今度からどうしようかなという評価になりました。
 駅に移動してとりあえず地下にあるお店に飛び込む。スムーズに席まで案内されて、注文をさっさと決めて店員さんに確認。この時既に20分。店員さんの答えは「10〜15分」。OK、許容範囲内。5分くらいでパスタが届いて急いで食べてお会計に。その際にも「間に合いましたか?」と一声かけられて、気を使って頂けたのかなと思って凄い嬉しかったです。多分そのお店には次に来た時にも是非利用したいと思いました。
 ……ただ、パスタ一品だけの夕食とは物寂しいのでコンビニで弁当を購入。買ってから思ったのは、どうせならさっきの店でもう一品追加しておけば良かったと思ったが既に遅し。

 今回の旅を総括すると、一日の大半を移動に費やしていたので無駄な時間が多かったかな、と反省。やっぱり効率よく動くために色々と段取りを組むのは大切ですね。
 あと、背中の痛みはその後もなかなか治まることなく仕事中でもくしゃみをするのに覚悟がいる事態となりました。
 おまけ:草鞋を履いたお地蔵様は願い事が叶うということで有名らしいですが、今現在私の元には願いが叶う兆候は微塵もありません。ま、まぁ京都から遠く離れているし。