『10年』

 9.11。あの日生まれた子どもも10歳になる。
 当時私は高校生。中学時代に作ったラジオ付目覚まし時計でラジオを聴くのが日課だった。ラジオから聞こえてくる落語が凄く楽しみで、その後のニュースで一日の出来事を知って、ラジオ深夜便の前に寝る。これが寝る前の大まかな流れ。
 だが10年前のあの時は違っていた。NHKのラジオからアメリカのニュースが速報として入り、すぐさまテレビの音声をそのまま放送することに切り替わった。その瞬間から只事ではないと思ってテレビを見に行った。そこに映っていたのは煙を上げていた高層ビル。衝撃だった。飛行機が突っ込むなんて想像すらしていなかった。翌朝に掲載された新宿のビル火災の記事も本来ならば一面物の大事件だが、全世界を揺るがす記事が全面に出ていた。

 10年の歳月が経過したが、ラジオから流れてくる情報と翌朝の新聞で受けたショックは今でも鮮明に覚えている。戦慄が走る思いを初めて体感した出来事だと思う。
 犠牲者に哀悼の意を表すると共に、テロのない世界が来ることを切に願います。