経済的視点が多い気がするのは私だけ?

堺屋太一という名前をご存知でしょうか?最近では大阪維新の会に関わっているという印象があるかも知れませんが、私はこの方の名前を聞くと経済企画庁長官のイメージがあります。作家さんですが大臣という印象が強いのは、そのせいかも知れません。
先日、この堺屋太一さんが書いた作品があったので試しに購入してみました。

豊臣秀長―ある補佐役の生涯〈上〉 (文春文庫)

豊臣秀長―ある補佐役の生涯〈上〉 (文春文庫)

豊臣秀長―ある補佐役の生涯〈下〉 (文春文庫)

豊臣秀長―ある補佐役の生涯〈下〉 (文春文庫)

豊臣秀長
歴史に詳しくない方は知らないと思いますが、あの大阪城を作ったり、刀狩をしたり、太閤検地をした豊臣秀吉実弟です。
この秀長、多くの作品において補佐的役割で描かれています。決して影が薄い訳ではなく、温厚で人当たりがいい、秀吉とは違った意味で愛される存在ではありました。そして名のある武将達と比べれば一段劣りますが、決して無能ではない、有能な人物でした。四国攻めや九州攻めでは大将を任せられ、内政においてもその力を如何なく発揮していたことから、文武に優れていたことは明確です。
堺屋太一さんは、この秀長にスポットを当てて物語を作られました。20代まで農民として生きていた秀長が突然家に戻ってきた秀吉に連れられて清洲まで行き、色々な流れがあった末に秀吉の家臣になり兄を支えていく、という話です。
時代小説はクセが強い作品もありますが、この作品は硬すぎず、かといって砕けすぎず、適度な文体で非常に読みやすかったです。また、経済に詳しい方らしく経済的視点から物事に解説をしている辺り、やはり凄い方だなと読んでいて感じました。
ただ惜しいことに賤ヶ岳の戦いまでしか描かれてないんですよね……武人・豊臣秀長だけではなく政治家・豊臣秀長ももう少し見てみたかったです。

三人の二代目 上

三人の二代目 上

三人の二代目 下

三人の二代目 下

三人の二代目。
上杉景勝宇喜多秀家毛利輝元にスポットを当てた作品。それぞれ偉大な父の二代目として奮闘していく様を描いた物語。
どうしても時代の中で最も力のある武将がメインで進んでいく物語が多い中で、それぞれ上杉家・宇喜多家・毛利家の視点で時代を見るという一風変わった作品ではありましたが、それぞれの立場から作られた作品は読み応えがありました。上杉謙信の急死から関が原の戦い後まで、重厚なストーリーで楽しませてくれます。

あ、信長と光秀にスポットを当てた作品がある。今度買いに行こう。